らき☆すた

らき☆すたの(非)自己言及的メタ構造

らき☆すたがある種のメタフィクションであるのは自明のことであるが、そう言ったときの「メタフィクション」が何を意味してるのかはあまり自明ではないように思う。ここではメタ構造のあり方の一側面を明らかにし、らき☆すたの本質に迫ってみたい。■「メタ」…

第24話「未定」

ダンスに始まりダンスで終わるアニメでした、と。京アニの作画能力を存分に使いきっていて、脚本としてもファンサービスとして気の利いた構成になっていて、まあ妥当なラストだと思う。しかしらっきー☆ちゃんねるは、先週までの煽りがあっただけにもう一ひね…

第23話「微妙なライン」

修正?本編は相変わらず脈絡がないが、らっきー☆ちゃんねるは最終回(?)に向けて、きちんと物語の体裁をなしている。前回、今回と演出もまとも。本編はもうどうにもこうにもまとめようがないが、その分らっきー☆ちゃんねるは納得の行くオチを期待。投げっ…

第22話「ここにある彼方」

「気流が乱れて上手く飛べないの。」あれは京アニの本気、ととっていいだろうが、京アニの本気、というのはその辺の一流の映画の演出に比べれば、大したことはないように僕は思う。京アニが本当にすごいのはビジュアル面だけだと思う。今回感動があったとす…

第21話「パンドラの箱」

「こなたは俺の嫁って書いてある。」学生時代の幸福感とそれがあっけなく過ぎていくことのせつなさ。それを意図的に描いてるのはわかるし、その表現の質は滅茶苦茶高い。それだけにすれば大傑作として波風立たずDVDも売れに売れるはずなんだが、それをズタズ…

アニメにおける「秩序」(らき☆すたの分析の準備として)

私的らき☆すた論争まとめの続き。 この記事の最後に、僕はらき☆すたのパロディや実写EDなどの暴走っぷりが無秩序にしか見えない、と書いた。しかしアニメにおける「無秩序」というのはどういうことでしょうか。それを明らかにするために、まずアニメにおける…

第20話 「夏の過ごし方」

「蚊も空気を読んだんじゃない。」 なんなんでしょうこのネタのどうでもよさとさりげない幸福感とどうしようもなく切ない儚さは。 ニンゲンは「今」という時に生きながら 「今」と言う時を感じる事が出来ないのではないでしょうか 私たちが見た事 触れた事は…

私的らき☆すた論争まとめ

巷を騒がせていたらき☆すた論争。事の発端は次の記事を含むサイトの作品批判。 らき☆すた第12話「お祭りへいこう」 - Danimation このサイトの主張に、以下のように物語の不在がらき☆すたの欠点だとするものがある。 第1話の段階ですでにそういった"あるある…

第19話 「二次に本質あり」

初期の良かった頃のらきすたが戻ってきたように思った。これでいいのです。脈絡なく流れていく大量のネタ、適度なパロディと適度に心温まる、決して押し付けがましくないエピソード。このままの空気感で何事もないままシリーズを終えて欲しい。これまでは中…

第18話 「十人十色」

「ねえこなちゃん、萌えってなーに?」感想を書いてる身としては制作者の意図や表現の特殊性などを探って傾向を一般化したいわけなんだが、そういうものを見つけたかと思うと次の話数ではその傾向が消え去っていたり、単発で違和感のある表現がなされていた…

第17話 「お天道様のもと」

パロディやEDネタなどで遊んでるうちは、まだ本編の日常表現がそれらと独立して一貫性を保っていたのでまだ良かったのだが、今回のかがみ一家の深刻な表現を使った長めのエピソードは、明らかにこれまでの日常描写から浮いていて、しかしパロディやネタの側…

第16話 「リング」

「つーかすごい曲だな」誰もがあれを聞いてこんな風に反応してくれればオタクも居心地の悪い思いすることないのに。かがみはオタクの理想の女友達ですね。前回は過ぎていく時間のはかなさを感じさせる描写が多かったけれど、今回は元に戻って日常描写とパロ…

第15話「いきなりは変われない」

パロディも作品のクオリティの高さも相変わらずだが、正直僕は各話の作画や演出の違について自信を持って語れるほどに見る目はないので、ネタに素直に突っ込むのを避けている天邪鬼としては今回はあまり語ることがない。そんな風に、変化球がない限り毎回感…

 第14話「ひとつ屋根の下」

「さよなら絶望先生」で感情を引っ掻き回された後に、今回の非常にオーソドックスで心温まる話をみて、非常に心が休まった。これが前回のようなとりとめのない作りだったら疲れきって眠れなかったと思う。ゆたかの入試のエピソードは、この作品では珍しくあ…

第13話「おいしい日」

本編の演出に意図が読めないものが多かった。例えばバスに乗るシーンでキャラの腰をアップで写すのは出鱈目なカメラ位置にしか感じられなかったし、喋ってるキャラを後ろから写すカメラ位置も意味不明だった。全体を通して他者的な視点が貫かれてるとかなら…

第12話 「お祭りへ行こう」

京アニというのは本当にサービス精神旺盛だなあ、と心から実感した回だった。僕としては、アニメにはそれ自体で完結した統一感を求めてるので、あまり歓迎しない。この作品は日常的な世界観にかなりの安定感があると思うので、それを乱して欲しくはない。し…

第11話 「いろんな聖夜の過ごし方」

前回はこなたが料理をする姿に不意打ちでステレオタイプのキャラ設定を超えた人間らしさを感じてしまったわけだけど、今回は父親にプレゼントを買って来たシーンにそれを感じた。こうやって家庭的な側面や、普通の娘としての側面をさりげなく挿入されると、…

第10話 「願望」

こなたがエプロンをして料理をする姿と意外に料理が上手いという事実が、いつものこなたの雰囲気や設定から完全に浮いていて、妙に生々しい人間臭さを感じた。ながされて藍蘭島のすずも料理をする姿が母親を思わせるもので、妙に可愛らしく感じたが、料理を…

第9話 「そんな感覚」

なんでこんなつまんなく感じるんだろう。というかなぜ最初の数本はあんなに面白く感じたのか。どうも問題は安易に演出の技巧に流されていて、ただ人間がそこにいるというだけの存在感を見せられなくなってることによるように思う。最初の数本が面白かったの…

第8話 「私じゃなくても旺盛」

体育祭の各シーンやらつかさの笛を吹くシーンなど出来のいい凝った演出を見るたびに初期の徹底的に抑制された構成や演出が懐かしくなる。どうも山本寛の引いたレールが新しい路線とぶつかってどっちつかずな作りになってるように思う。ファンサービスのつも…

第7話 「イメージ」

前回は京アニらしい凝った演出が過剰に感じたけど、今回は凝っていても控えめで、雰囲気に合わないような感じはなくて良かった。それに全体的に初期の無節操で乱暴な構成に戻っていて、個人的にはそのいい加減さが大好きだったので非常に楽しめた。あとセミ…

第6話 「夏の定番」

いろいろと京アニらしいこだわった絵や演出を見せてくれるのはいいんだが、どうもこの作品でやられてもあまり引き立たない。例えば凝ったカーチェイスのシーンは、「スクールランブル」でやると非常に効果的なわけです。その違いはシーン自体ではなく、両作…

第5話 「名射手」

監督変更ということだが、それを意識すると非常に変わったような気もするし、作品の方向性は何も変わっていないような気もする。個人的にはそのアナウンスのおかげでこれまでとの違いを意識して見るようになったので、少しはためになったのかなと。出来はあ…

第4話 「やる気の問題」

予想以上にキャラにリアリティを感じてきて、彼女たちの日常をより楽しめるようになってきた。その要因の一つとして、キャラの特徴が過剰でないことが挙げられると思う。こなたはいつも自分の行動に自身を持ってるようだけど、今回の試験勉強の一夜漬けのと…

第3話 「いろいろな人たち」

いやー面白い。徹底的にくだらない内容を抜群のテンポで徹底的に詰め込んでいる。退屈さを感じる暇なしに幸せな時間が続く幸福。これはなにげなく親しい友達とダラダラと話す楽しさと同種のものだと思う。そういうときの面白さって言うのは話の方向性が自由…

第2話 「努力と結果」

キャラクターは記号的で薄っぺらいし、ストーリー性はゼロだし、意外な展開もなければ動きまくるアニメーションもない。中身がないならないなりにARIAのようなゆったりとした空気感を作ればいいのだが、低俗な会話で構成された大して面白くもないネタが絶え…

第1話 「つっぱしる女」

「やっぱり大好物は最初に食べないとね。」最早京アニお家芸のダンスアニメを中心としたハイクオリティのOPが終わって、さあKanonを終えた京アニは今度はどんなものすごい物語を見せてくれるのかと期待したら、くだらない話を延々と続けるだけという、非常に…

未完了分