第1話 「つっぱしる女」

「やっぱり大好物は最初に食べないとね。」

最早京アニお家芸のダンスアニメを中心としたハイクオリティのOPが終わって、さあKanonを終えた京アニは今度はどんなものすごい物語を見せてくれるのかと期待したら、くだらない話を延々と続けるだけという、非常に期待を裏切る滑り出し。原作は読んでないのだが、たぶん原作もここまでゆるい構成で始まりはしてないだろうと思う。とはいうもののチョココロネの話が長々と続いて、さらに他の食べ物の話に転がっていったあたりでは、どうせなら一話丸ごと食べ物の食べ方の話で続けてくれたら面白い、という期待をしてしまうもので、Aパートの終わり辺りまでひたすら場面を変えずその話を続けてくれたのは良かった。保健室からキャラ達が出てくる場面で、同じ絵を何度も繰返したところもそうだが、ギャグのツボをきちんと心得ているように思った。同様に銀魂でも同じ場面でひたすら続けるという面白さは随所で見られる。脚本的には深みのある銀魂の方が明らかに面白いが、それは狙いの違いということだろう。

演出的には、最近のギャグアニメの中では非常に地味な見せ方をしていると思う。岸誠二監督の「瀬戸の花嫁」や彼の過去の作品などに見られるように、集中線や画面揺らしなどの様々なエフェクトを使って派手にノリで突っ走るようなことはあまり行われず、静止画で話してるだけの表現が多い。しかし、地味ではあるが作画と声優の演技がしっかりしているので、決して退屈すると言うことはない。むしろ地味な分それらの良さが十分に引き出されている。これが出来るのは京アニだからこそだと思う。

キャラとしては、とりあえず主人公らしいこなたは好きになった。自分勝手な方向で自信を持ってしまってるキャラで、作画と声優の演技、幾度も彼女の個性を強調する場面を持ってくる構成によって、十分にそれが表されていたと思う。主要キャラは4人なので他のキャラにもすぐ馴染めるだろう。せっかく良く出来たゆるい空気感があるので、今後間違ってもキャラ達の悩みや葛藤を表現したりはしないで欲しい。個人的にはKanonの押し付けがましいドラマにはいくらかうんざりなのです。