シリーズ全体について

シリーズ全体としては、まず虎子を一見主役らしくないキャラであるにも関わらず過剰に多様な側面から描いているのが際だっていた。特に相反する側面(例えばボケ役とツッコミ役、性的な視線を持つ側と視線を受ける側、精神的な問題をを解決する側とされる側)を同時に描いていたのはキャラクター中心の作品としては珍しいんじゃないかと思う(たぶん)。一人のキャラを多様な側面から描くことによって一枚岩ではない複雑な人間性を見せられて、シリーズ序盤はわりと好印象だったけど、シリーズ終盤になってくると焦点の定まらないキャラクター像が煩わしく感じられるようになった。ちょっとやり過ぎだったんじゃないかと思う。

そんな風に虎子を過剰に描きすぎたのと、キャラが多すぎたせいでキャラの特徴を十分に描くことが疎かになってしまったのは残念だった。四人組以外のキャラと龍姫に関しては一話使って十分にキャラ紹介がなされていたと思うけど、雀と歩巳はもっと彼女たちのことをよく知れるエピソードが欲しかった。特に歩巳については一話冒頭の感情表現が印象的だったのと、平野綾に対する期待もあり、特にそう感じた。

でも多くのキャラを紹介したのはラス前のエピソードで幸せな学園生活を友達の数で強調するのに貢献しているので、決して無駄ではなかったようにも思う。OPの主要キャラが多く横に並んだ絵も印象的だったことだし。

シリーズ全体を思い返してみると、第一話を見て賑やかでさわやかなコメディーを期待したのに反して、どうも辛気くさい印象がぬぐえない。家族や人間関係の問題が生々しく描かれたのが原因だと思う。とらドラの感想でも似たようなことを書いたけど、萌えアニメにそういった深刻な問題を持ち込みながら萌えアニメの空気感を維持するというのはとてもハードルが高いことのように思える。