第13話 「501号室」

エヴァの場合は、シンジにしろアスカにしろ、彼らにとって最も重要な人間として母親が設定されてあって、それををはっきりとしめさず、暗示的に示すことによって、母親への依存性が抽象的に示され、それがどこか視聴者自信も直面してる本質的な問題であることを強く感じさせるものだった。しかし、真の場合は現実に存在する人間がウィークポイントとして設定されていて、エヴァに比べてわかりやすい変りに、卑俗で単純な問題になってしまっている。例えばアスカの場合、劇場版前半で母親との接触を確認できたところで、今回の真が千早との結びつきを感じたときのような幸福感を始めて得た。しかし、その原因の母親は暗示的に示されるだけの現実に存在しない人間であって、他の現実に存在する人間に対して心を開いていなかったそれまでのアスカの苦悩は、現実の人間によって規定されることのない本質的な苦悩であるように感じられる。その点真は苦悩の原因が、現実に依存してる人間としてあっさり示されてしまい、人間の本質的な苦悩だと感じることはできない。

まあ真の問題が安易に解決するかと思いきや、ますます荒んで行く結果になったのは、これまでの春香の情熱によってなんでも解決していたのに比べれば、ずっと緊張感のある面白い展開。予定調和的だったストーリーがようやく動き出してきたように思う。これまでの印象だと、春香の性格はもう完成されていて成長の余地はないようっだったけど、何か苦悩や成長を示すことができるなら、非常に面白い。