第10話 「窓辺」

偶然にもロミオ×ジュリエットと似たようなバルコニーから愛のメッセージを送るというシーンがあったが、こちらはロミオ×ジュリエットの凝った音楽や演出やセリフと違って、地味な音楽であまり抑揚もなく陳腐なセリフを言うという、野暮ったさを感じるものだった。しかしこれまでの話の積み上げと、さらには多くの周りのキャラたちの暖かい反応が丁寧に示されていたというのもあって、その野暮ったさが却って素朴な感情表現として十分に情熱を感じられるものになっていた。

これまでの話という点では、ウィリアムの婚約と破棄のあたりで納得できない部分もあったものの、前回からのウィリアムの毅然とした態度や、それを支える使用人たちやハキムのサポートが人間関係の深みを感じさせるものだったというのもあって、ラストに向けてウィリアムの存在感は十分に強いものになっていたと思う。