第7話 「野球したい」

前半の試合の部分は相変わらずお互いの読み合いが面白かった。田島がヒットを打つ直前ににCMに入るところなどは、理屈からまったく先の予想がつかず、次にどうなるかわからないドキドキ感を味わえた。でも結局はどっちが勝ってもハッピーエンドという流れになっていたので、あまりそういった感覚は重要ではなかったように思う。

美星学園との和解のシーンはあまり面白くなかった。西浦のメンバーが三橋が欲しいのは本当はいい投手が欲しいからであるはずなのだが、その辺が示されずにほとんど古い友達と一緒にいたいというような理由しか見えてこなかったし、三橋も本当はピッチャーをやるのが楽しいからだけのはずなのだが、それが曖昧な仲間意識にされてしまっている。三橋と阿部の関係は綿密に描かれていたが、三橋に対する他ののメンバーの行動は単なるいい人である以上に描かれてはいなかった。このアニメが特別に面白いのはキャラの徹底的に利己的な考えを綿密に描写してるところにあって、馴れ合い的な仲の良さが出てくるとただの青春ものになってしまう。

その点メインキャラである三橋と阿部の信頼関係というのは、人間としてはお互いがお互いに興味がないところから始まって、徹底的に利己的な行動の結果生まれた嘘のないものであって、非常に強いものに感じられる。それは性的な関係と同様なもので、性を暗示させる表現が似合うのもうなずける。しかし二人の関係は、未だ単にお互いの能力を必要としてるだけであって、人間としての相手を見ているわけではない。そこからいかに人間としての相手を見つけられるかというのを是非見せて欲しいところ。

この作品がうけるのは、近代化によって暗黙の共同体意識が失われた世界において、いかにして他人との関係を築くかという問題に対する一種の解答が示されてるからのように思う。