第4話 「求婚」

「やはり私に行かせていただけないでしょうか、ロンドンへ。」

突然新キャラが出てきたり、エマとウィリアムの状況もも二転三転したりて、まったく先の予想がつかないハラハラドキドキする展開だった。ウィリアムの側としては、モニカの道化的な行動によってエレノアとの関係が一度は終わってしまうかと本気で思ったものの、ウィリアムの突然のプロポーズによって雨降って地固まってしまうという最後の驚きまで飽きさせない展開。エマの側としてもポリーの行動とエマの逡巡によってロンドン行きが本当になしになってしまうんじゃないかと十分に思わせるだけのものがあった。

ポリーとモニカという突然登場した個性の強い新キャラは、ストーリーをかき回して面白くするという役目だけでなく、彼女たち自身もエネルギーのあるキャラとして魅力的だった。モニカはちょっとこの作品にはふさわしくないマンガチックな性格であるのが残念ではあったが。

構成としては非常に良く出来ていて、感情の変化の原因や、事件の因果関係は非常に説得力をもって描かれてるわけだけど、エマのロンドン行きの決断とウィリアムのプロポーズは特に明確な原因はわからず、曖昧な印象を受ける。しかし、この不自然さにこそリアリティがあるように思う。それらの決断は明らかに物語を悲劇に導いてるわけで、運命の悪魔が彼らの行動を悲劇に向かって導いたんじゃないか、と思わせてしまうものがある。制作者の悲劇を描きたいという都合と考えるのも不自然ではない。いずれにせよ、物語内の因果関係の外からの力が働いたように感じる。

これはご都合主義と呼ばれるものでもあるんだけど、これが徹底的にリアルな物語の間にさりげなくほんの少し挿入されると、不思議とリアリティを感じる。こういう感じは現実に生きていても感じるものじゃないかと思う。自分の意志で行動してるはずなのに誰かの意思に操られてるんじゃないかと思うことや、現実の因果関係に従って起こってるはずの状況の推移があたかも大きな力によって操られてるんじゃないかと思ってしまうこと。偶然と必然が同時にある事象に作用しているような感じといえばいいだろうか。そういったことを感じられるのはこの作品が十分にリアルさを感じさせる作りをしてるからで、普通の作品でやると単なる制作者の都合にしか見えなくなってしまう。この作品だからこそ、ご都合主義がよりリアリティの強度を増す効果をもつ。

また視聴者にとっては悲劇的な展開になることは明白になったわけだけど、これは偶然にも同じイギリスと関係の深いアニメ「ロミオ×ジュリエット」でも同様。悲劇へ向かってることはわかってるのに、どうしても先を見ずにはいられない感覚があるのも同様。その理由もいずれ考えてみようと思う。