第3話 「復讐の章」

なんだか陳腐な勧善懲悪ものになってきたなあ。市長は確かに悪いことをしたのかもしれないが、二重帳簿なんてどこの偉い人でもやってるのが普通で、いちいち騒ぎ立てるものには思えない。それをいちいち暴きたてようとする正義の味方は、むしろ空気を読めてないおばかさんだと考えるのが普通の考えじゃないだろうか。

死神蜂の刺青男にしても、戦争で敵を殺すのは当然なのだからそもそも悪とすらいえない。さらに言えば、戦争を起こしたのは一介の傭兵ではなく、もっと複雑な事情があるのだから、実際に手を下した人間を恨むのは筋違いでもある。だからティナの恨みはその事件を引き起こした本当の原因を見ようとせずに、自分の見たことだけから情動に流されて行っている子供じみたものにしか見えない。

市長がティナ達を倒そうとするシーンは不自然な点があって、作画や演出的にはいいものの、緊張感が感じられなかった。ガソリンをまいてる隙になぜこれまでさんざんフィーチャーされていた飛び道具で殺すなり脅すなりしなかったのか。また、ガソリンをまいてる間に逃げる暇もありそうなもの。鐘を打ち落として火から身を守るというくだりは前回の船を踏み台にして橋の壊れた部分を飛び越えるのと同様、インパクトはあるが無理な展開だった。鐘につぶされたらどうするんだろうか。あとどうやって出たんだろうか。銃撃戦のシーンもなぜリタに弓が当たらないのがご都合主義にしか見えなかった。

こんな風にストーリー安っぽいところもあったが、キャラの感情表現は作画的にも演出的にも良く出来ていて共感できるものではあるので、十分に楽しめるものではあった。