第8話 「刻の目覚め」

これまで完璧に尽くして来たにも関わらず京四郎に見放されてブチ切れるせつな。これまでのロボットのように従うせつなの描写は一貫性があり、量も多かっただけに、今回出した本性は非常にリアルに感じた。始めてこのアニメで人間を見た気がする。

今回は展開がわかりやすく、キャラたちの感情の変化が明確に感じられて良かった。ここ数話の盛り上がりをみると、シリーズ前半のふざけた演出や脚本が真面目なものだったら感動的なものになったかも知れないと思う。思うだけで確信はない。というのも、今回の花際は大儀と故意の間に揺れて恋を選んだ京四郎、自分の好きな人へのふさわしくなさから絶望し死を選んでしまう空、この二人によるた悲劇を乗越えた恋の成就という非常に感動的であるはずの話であり、それを見せる演出も、セリフ回しも良く出来てると思うのだが、いまいち感動できない。これはやはりシリーズ前半のトンデモな記憶が邪魔をしてるのか、もしくは感情を表現するのにポエティックなセリフに頼りすぎでエピソードによる表現が足りないからか、自分でもよくわからない。

カズヤ兄さんで王子さまな人が空から七色の光をまとって降臨するのは、どうしても制作者がツッ込んで欲しがっているようにしか見えないのだが、そう考えると演出や脚本に気合が入っているのと矛盾する。話としては荒っぽいが単純で力強さがあるという神話的なエネルギーのようなものは感じないでもないが。

脚本:植竹須美男 絵コンテ:室谷靖 演出:田中一 作画監督:成川多加志/田畑アキラ/松浦仁美