ささめきこと 第10話

予想の斜め上とは良くいうが、今回の話はまるで予想の斜め上の斜め上の斜め上……とくり返して行って最初の予想に戻ってくるようなある意味怒濤の展開だった。例えばBパート冒頭の純夏の転倒に始まる気合いの入りまくったギャグシーンはそれだけで今回の雰囲気を決定してしまいそうだったが、そのシーンが蒼井が本気で涙を見せそれに反応して純夏が一大決心をする美しいシリアスシーンに繋がろうとは、まったく予想が付かなかった。

その予測不能さに輪をかけて混乱を導くのはシリーズ序盤からの風間の本心の視聴者に対する曖昧な示し方で、彼女のせいでいつこの甘いラブコメ世界が崩壊してしまうか見てる側は不安でしょうがない。それ以外に不安を催させる物として制作者の確信犯的な悪意がどうしても感じられるというのもあり、この作品はその辺のヌルいラブコメにはない一触即発の雰囲気があると思う。

とはいえそれ以上に感じられるのは確固とした各キャラクターの存在感と力強さ、制作者の技術力と作品への信念であり、結局のところは本気で裏切られることはないと自信を持って信じることができる。

でもその安心感と不安感のギャップがこの作品の魅力であり、今回は特にそれが強く表れていた回だったと思う。