とある科学の超電磁砲 第10話

シリーズ全体の転機となる回で、それにふさわしく素晴らしい出来だった。特に初春と佐天が電話するシーンと美琴が黒子の怪我を気遣うシーンは、これまでのそれぞれのペアの関係性の表現の一つの頂点であり、心から素直に感動できるものだった。

しかしやはりミステリ的というかシリーズ構成の面白さとしては薄く、黒幕は木山でしたという話にはほとんど面白みを感じなかった。もともと怪しげな人物が犯人だといわれても……という感じ。どうせならもっと善人らしさをアピールするとかしておけば意外性が現れたんじゃないかと思う。

前回の感想では美琴に人間としての深みがないと言うようなことを書いたけど、今回はそれが納得できる理由で説明されていて、しかもそこからの成長が美琴の実直な性格と結びつけられて描かれていてとても良かった。そのおかげで美琴のキャラクターとしての魅力がグッと増したと思う。

Aパートは佐天と初春の電話のシーンもあり非常に盛り上がったのだが、後半事件についてやたら説明的なシーンがあってその勢いが削がれてしまった。何が悪いのかははっきりとはわからないが、例えばバックトゥザフューチャーのタイムトラベルの説明やジュラシックパークの恐竜の再生方法の説明などでは理屈っぽいにも関わらず退屈さをまったく感じないことを考えると、改善すれば退屈ではなくなるんじゃないかと思う。

何だかんだ言ってもともとハイレベルなシリーズが序盤からセーブしてきた作品のポテンシャルが一気に解放されているようで、抜群に面白い。アニメでこんなに次回を楽しみだと思うことは年に一回あるかないかぐらいだと思う。