第20話 「かえりみち」

「私の飼い主は、千早さんです。」

本格的に面白くなってきた。雪歩の裏切りとインベルの喪失に絶望して自分を見失う春香。無理に明るく振舞っている姿の表現は本当に痛々しく、ショックの大きさを強く感じれるものだった。

それに対する伊織とやよいの友人としての対応も、それぞれのキャラらしさとやさしさが表れたもので良かった。相手に対する理解を示しながらも、自分で解決するべき部分は決して甘い言葉でごまかさずに、自分で解決するように仕向ける。こういう表現はあんまりアニメで上手になされるのを見ない。

第1話から春香はあまりにも世界と調和しすぎていて、アニメだからこういううそ臭いキャラもしょうがないかと思っていたわけだが、今回になってその調和が否定され、これまでの春香のキャラ表現がようやく意味のあるものとなったと思う。

これまでの春香の自信の強さはこれまで19話ほぼ丸々使って強烈に表現されてきたわけで、今回のそれが否定されたことの痛みの大きさはその分だけ強く感じられる。

女の子なら誰でも経験する自分と世界の不一致。これを自分を維持しながら乗り越えられるか、それとも世界の側に妥協して自分を捨ててしまうか、女が女でいられるかどうかの分かれ道。

第1話からここまで主役の性格を一貫して描いてきたのは確かにエヴァのパロディを称するだけの資格がある。この先ラストに向かっていかに春香がこの障壁を乗り越えるか、大いに期待。