第13話 「夏大開始」

選手たち、監督、応援団、マネージャー、選手の家族、敵チームと、関係する様々な人たちの思いが丁寧に描かれていて、早く試合が始まって欲しいというもどかしさを感じながらも、試合にまつわる人たちの一体感が感じられて感動的で、さらにそれだけいろいろな思いが関わる試合への期待も強まるものだった。

このアニメは、選手の家族や敵チームに至るまで、かなり多くのキャラがステレオタイプな描き方で済まされることがなく、それぞれの真剣な思いが描かれていて、多数の主役がいるような印象を受ける。試合においても敵、味方、応援する人、それぞれの視点のそれぞれの人の内面に深くふみこむことによって、ある視点から見た出来事ではなく、多数の視点から見た総合的な出来事として、見せようとしている。

最近思うことなのだけれど、物語において基本的な視点というのは、特定のキャラに感情移入して視点を重ねることではなくて、全体を上から見下ろすような俯瞰的な視点なのではないだろうか。だから内面を表現するときも、多数のキャラの内面を表現する方が、特定のキャラの内面だけを見せることよりも、自然なのではないだろうか。このアニメは、例えばまなびストレートなら蜜柑のような感情移入しやすいキャラは居ないにもかかわらず、不自然には感じない。むしろ、多くのキャラの内面が外から見て可視的であることが、自然で心地よく感じるのです。