第13話 「会いたくて、行人」

ベタベタな展開で大きな感動はないものの、個々の演出や作画、特にコミカルな表現は相変わらず絶品で、まったく退屈することのなく見ることが出来た。とんかつの表現なんてのはこのアニメの最も得意とするところで、全くしゃべらないのにも関わらず絵や動きだけで人間と対等なぐらいの存在感を十分に感じる。特にお茶を飲むシーンとか、豆腐を食べるシーンはかわいらしくて良かった。

このシリーズは、一応一話を通したストーリー展開をパターン化した仕方で敷いて、その合間にキャラクターをフィーチャーした小エピソードを配置していくという、萌えアニメの黄金パターンのような構成がほとんどになっている。それでも、というか、だからこそそまったくつまらなさを感じない。定番のパターンというのは丁寧に作りこめば、定番だけに安定感のある面白いものが出来上がる。普通のことを普通にやっているから、他の特に優れていたり奇抜だったりする作品と比べてあまり目立たないけれど、普通であることは最も難しいもいえるわけで、単なる萌えオタ向け作品という当初の印象からはずっとかけ離れて優れた作品であるように思う。