第11話「笑顔が… 好き!!」& 第12話 「ありがとう… ございました!」

このシリーズ最大の問題はシリーズ全体の構成で、演劇の話、佳代の話、最後の卒業の話がそれぞれに山場があって、、盛り上がりが分裂してしまっていて、さらにそれぞれの必然的な関連のもあまり感じられなかった。特に佳代の話は唐突に挿入されたような印象が強く、演劇がテーマの作品の中で浮いてしまっていた。最終回のラストカットでこれだけ大きな扱いを受けていた佳代の名前がないというのは不自然な感じがしてしょうがない。ではどうすればいいかといえば、ゼロの使い間のようにメインの話の間に他のエピソードを挟むという構成をすればいいわけで、それができなかったこの作品は最近多い準備期間が十分に取れず構成を練ってる時間がなかったような作品の一つに見える。

最終話Bパートの派手な観念的な演出はあまり良いとは思わなかった。これまでもこんな風な過剰な演出は多かったが、そこに至る理屈の積み上げが不十分なので、強引に盛り上げてごまかしてるような印象を受ける。今回も麦が野乃を呼び出した理由すらはっきりとわからないまま派手な演出に行ってしまっていたように思う。もっと地に足のついた物語で見せて欲しかった。

そういった不自然でちぐはぐな印象はいたるところで感じた作品だったが、それによって却って青春の行き先不明感を感じることはでき、そういう意味では楽しめた作品だった。出来という点では大したことがないのに、他の多くの優れた作品を見切りながらもこの作品を見続けた理由は、川澄綾子の落ち着いた演技がキャラの深みを感じさせるものだったというのが大きいと今では思う。