第7話 「夕波」

「本当に彼のことが好きなら、何があっても動じない強さをもちなさい。」

エマが婚約破棄の事実と重大さを偶然の積み重ねで知ってしまい、ついには入水しようとするというお話。前回のロンドン行きといい、あからさまに偶然を装った展開が続くのはいかがなものだろうか。今回のパーティは直接にはストーリーの進行上必要のないもので、偶然を見せるためだけに意図的に作られた舞台であるのが見え見えだった。噂話のシーンも然り。凝ってるのはわかるがもうちょっとストレートな展開でも良かったように思う。

こんな重大な結果を生む可能性があったにもかかわらずウィリアムが婚約を決めた理由がはっきりしないのはやっぱり致命的だった。もうウィリアムは外道か大バカのどっちかだと考えないことには存在感を感じることができない。しかし本気で恋をすれば誰でも外道で大バカになるものではある。とすればウィリアムの兄弟たちの常識的な視点はその何も見えてなさと対比して強調するためのもので、狙ってそう見せてるということでしょうか。

対するエマの方は、もともと感情を表にあまり出さないキャラなので、どの程度の情熱を持ってるかというのはあまりよくわからず、あまり感動を生まない。そういうわけで入水の理由は実感は薄いけれど、不自然さもない。しかしだからこそ涙を流すのは我慢に我慢を重ねたことがわかり感動的でもある。

登場シーンは少なかったがエレノア母の立派さが印象的だった。文句をいってむすっとしてるだけの父親に対して、毅然とした態度で娘の幸福のために行動する母親は芯の通った女の強さを感じた。ドロテアやウィリアム母も毅然としていて、ウィリアムやウィリアム父はどうも頼りないと、この作品はどうも男の情けなさに対して女性が強く描かれることが多いように思う。