第5話 「旋風(かぜ)〜燃ゆる覚悟〜」

「幸せの余韻に浸り、高鳴る心臓の音が聞こえてるわよ」

ラブストーリーに真っ向から対立する社会的な事情が本格的に描かれてきて、非常に面白くなってきた。ラブストーリーの側としては、刺繍をする表現が、多少ラブコメ的に描かれていて、甘い恋愛を現代アニメらしく表現している。原作は古典ながら現代アニメらしい表現を取り入れてるのが、我々現代アニメファンにとってはリアリティを感じさせて好感触。またウィリーのジュリエットに対するセリフもひねりが効いていて効果的。

そういったジュリエットの幸福な描写と平行して、権力の圧制に苦しむ民衆がまたリアルに描かれている。例えば他人を赤い風だと偽って食料を得た人は、決して他人を貶めてざまあ見ろ、と考えてるわけではなく、止むを得なくやってしまったことだということが、その表情からわかる。安易なアニメなら彼をわかりやすい悪人にしてしまうところ。安易に悪人を作らずに、だれもが必然性に従って行動してるのがわかるから、リアリティを感じる。こういったリアルな社会問題の表現はなかなかアニメでは見ることが出来ないもの。

なぜだかはよくわからないが、全体的に、絵コンテが「映画的」であるように感じた。アニメ的なうそ臭さを感じず、フレームの中に実際に人間がいるように感じた。

恋愛表現も抜群で、社会問題の表現も抜群。その間に挟まれるジュリエットの直面する問題の深刻さが痛いほど伝わってくる。本格的に面白くなってきた。