第1話 「新しい家」

他のアニメとは一線を画する高級な雰囲気と、それに応える作画、演出、脚本。期待以上の出来で十分に面白かったし、次からの話への期待が大きく膨らんだ。当然第2期第1話はエマとウィリアムが再会する話になるだろうと思っていたら、それぞれの新しい生活の中でお互いへの思いを示すエピソードを描いていくというストーリー展開に驚いた。ラブストーリーはメインのカップルが会える状況にあるか、そこに向かう話になるのが普通だが、そこはさすがに高級な空気感のあるエマだけあって、野暮なありふれた展開にはしないということだろう。それでも二人の関係が全く途切れたわけでないことは十分に示されていて、脱線した展開だとは少しも感じなかった。

今回はエマの恋愛のの代わりにエマの同僚のナネットの話が中心だったが、その話が丁寧に作られていて、この回だけでも楽しめるものだった。身分違いでも好きなんだからしょうがないというシーンや、毒薬を飲むシーンは感動的だった。それに関わるエマの行動が、エマの性格や恋愛に対する考え方、ウィリアムへの想いを暗に表すものになってるのが見事。そのことをいちいち語らずに、ほんのわずかの動きやまったくの無表情でも十分にわかるようになってるのが粋な感じで良かった。レースのハンカチを出せば、それ以上何も語る必要はないということ。覚えていない人のためには前回の総集編でさりげなく登場させるという視聴者への配慮も忘れていない。

エマだけでなく、エレノアとウィリアムやの想いも、明確かつ洗練された表現で示されていた。二人とも本気であるということが良くわかった。背景美術や世界観は前シリーズ同様よく出来ているのもあり、十分にこれからの話への期待を持たせるものだった。