第1話 「ホントのエース」

原作未読。動画に頼らず脚本と演出で場の空気を見せる方針は好感触。冒頭の中学時代の三橋の試合のシーンはメンバーの表情や理解なだけのプレー場面を次々と映していくことによって、三橋を圧迫する空気が非常に良く表されていて良かった。構成としても、説明なしにこの印象的なシーンを見せたことによって、その理由をしりたいと後のシーンへの興味をもてるものだった。その後のシーンでも三橋の行動を理由を示さず示して行くことによって、理由が明かされるまでその理由への興味が尽きることはなかった。

後半のキャッチャーの阿部と三橋のやり取りは、阿部の視点から三橋の在り方を丁寧に描いていくことにより、三橋の考えや境遇についてよく知ることが出来ると共に、二人の間の信頼関係ができていく過程がわかりやすく示されていて面白かった。またピッチャーとキャッチャーの関係という一般の人には馴染みのないことも十分に説明されていて理解に困ることはあまりなかった。内面語りの多用は、何を相手に伝えて何を言わないでおくかという、マンガやアニメにおいてあまり描かれないコミュニケーションのあり方を示せるという点で面白い。野球のチームプレイの表面の言葉に表れない部分というのをこれからも見れたらいいと思う。ストーリーの方向性も明白で、これから先が非常に楽しみ。