第12話 「永遠の空」
「知ってました？ ラストダンスを踊った二人は、永遠に結ばれるんですよ。」
昨日のときめきメモリアル Only Loveの終わり方がラストらしからぬ軽いものだったのに対し、こっちは正攻法の情感にあふれる感動的な話を持ってきた。優れた作画、演出と相変わらずのハッタリの効いた脚本が十分に生かされていて、この話だけを見るなら文句のつけようのない最終回だった。しかしときメモの終了後の満足感に比べると、終わった後の不満な感じが多い。これはときメモが十分に主要キャラ達の感情を積みかさねてきたのに対し、こちらは主要キャラ達の感情が十分に描かれてなかったからだと思う。ときメモは普通の学園物以上に世界観を発展させなかった代わりに、十分な余裕を持って主要キャラ達の思いを描いてきた。ストーリーの必要性から言ったら過剰だともいえるが、そのおかげで視聴者は確固としたキャラのイメージを作ることができた。しかしこちらはごちゃごちゃしたストーリーに紛れて、キャラ達の感情がストーリーの理解に必用なだけは描かれていたが、十分に描かれていなかったように感じる。もちろんときメモは２クールで、こちらは１クールだというのも大きい。だからせっかくこんなに美しいラストを描けるのに、キャラの感情を十分に視聴者に納得させる構成をとらなかったことがすごくもったいなく思う。ストーリーも結局なんだかよくわからんかったしなあ。
しかし、これはだいぶ個人的な印象かもしれないが、せつなに関しては十分にリアルなキャラだと感じることが出来た。前回ワルテイシアが、「人の思いは、足し算や引き算ではないのよ。時には損得や善悪を、この世の全てを超えて働く。」とせつなのことを言っていたが、人間の感情が割り切れないということに気付いて、それでも生きていこうとする過程が良く描けていたと思う。最初の頃のロボットのような描写から、京四郎にフラれたシーンの絶望的な叫びや、その後の記憶を失った空を助けようとする時の優しさの描写によって、せつなの感情の流れだけは自然かつ十分に描かれていていたように思うのです。彼女が髪をばっさり切るシーンは文句なしにこのアニメのベストシーン。なんなんでしょうただ髪を切るだけでこの説得力？ 演出が電波だったり話がわけがわからなかったりして不満も多いこのシリーズだけど、このシーン一つでそれらを全部覆してこのシリーズを見てよかったと思えるほどだった。
