「FILE8 「呪いの家」#4」

ナルは筋金入りのナルでした、と意外なオチ。優しさとか勇気を強調するのではなく、善悪の彼岸にある個性を強要してるところがいいですね。超サイヤ人みたいになって光る気功派みたいのを打ったときは超展開? と思ったけど、納得できる説明があって安心した。キャラクターの良さが際立ってたアニメだけに、(準?)主役のエピソードで終わらせるのはふさわしかったんじゃないかと思う。

キャラクターといえば巫女さんもこれまでほとんど役に立ってなかったのが、最後になって大活躍したのも良かった。彼女の祈祷(っていうのか?)は、彼女のこれまでにない真剣な表情や、麻衣達の驚きの表情、静謐な演出と音楽による厳粛なもので、しかもシーンが十分な尺をとって描かれていて素晴らしかった。彼女がこれまで活躍できなかった理由も納得の行くもので、これまでの汚名は十分に返上できたように思う。やっぱりキャラがいいですね、このアニメは。

とはいってもキャラだけでなく、話のほうもこれまでの伏線を見事に解決し、しかもわかりやすくて理解のために気が散ってしまうこともなかった。ナルによる名探偵のような推理は、ナルの能力を示すものであるのと同時に話が解決される気持ちよさが感じられた。神を相手にするという壮大な話になってしまうのも最終回らしくていい。しかしそれがナルの自尊心だけのためというのはいくらなんでもありえないが、話の自然さよりもキャラの個性を強調することを選んだということか。そういえば依頼者の人たちのお礼のシーンとかあるべきなのになかった。

このシリーズ最後のFILEは設定や演出、美術など、総じて非常に気合が入っていて、まるで一本の劇場版を見たかのような満足感がある。今回も普通のアニメじゃ見られないほどいいと思えるシーンがたくさんあった。これまでもこんだけ面白ければ人気がでたんじゃないかとおもうともったいない。(ただ初期の頃のはそんなに覚えてないので、実は面白さを見落としてただけかもしれない)

脚本:上代務 コンテ:葛谷直行 演出:吉本毅 作画監督中山由美