第1話 「ディスティニー -destiny-」

原作:


「三十七キロ、よし、サイズは?」
「身長百五十四センチ、スリーサイズは上から八十一、五十四、八十二.――それから」
さつきは付け加えた。
「きわめて健康です。」
那須田はゆかりに目をすえたまま・・・
アニメ版:

「よしサイズは?」
「身長153センチ、上から80、54、82、きわめて健康です。」
(恥かしそうに胸を腕で隠しながら)「ぴったり!」
「ぴったりだ! さつき君、これは行けるぞ!」
「君はお父さんを探してるらしいが・・・
こんなところからもサービス精神が感じられて、非常に好感が持てる限り*1微乳が強調されていた(?)風呂のシーンも原作にはないもの。キャラデザ的には萌えの流行りからそれているが、これは元の絵の制約だからしょうがない。汚らしい先入観を持たなくていいだけましともいえる。

原作との変更点としては、原作がゆかりソロモン島に着いたところから始まるのに対し、学校のシーンなどの日本にいる場面が少しあったこと。これは、原作ならト書きで説明されるゆかりの境遇を映像で見せてしまおうということだろうが、学園ものを期待させてしまうものだったのはどうかと思った。この後しばらくソロモン島にいることになるはずだから。しかし伏線らしきものもあったので学校はまた出てくるのかもしれない。そのほかには構成としては、ロケット開発の世界を説明しながら、ゆかりが巻き込まれていく過程が自然に描けていたので良かったと思う。盛り上がるべきシーンとしてカーチェイスもあったし。

ただそのカーチェイスも含めて、CGを使ったロケットなどのメカの絵はあまり良いものだとは思わなかった。現実のロケットの再現度は高いのかもしれないが、そんなことはマニア以外の人にとってはどうでもいいこと。ロケットの絵としては王立宇宙軍のそれが強烈に印象に残ってるわけで、今回のCGを使ったハリボテみたいな絵では、肝心の発射シーンでシラけてしまうんじゃないかと恐ろしい。爆発シーンも本物はそうなのかもしれないが、白い光が広がるだけで何の迫力も無かった。

肝心の主人公は、目的をしっかり持ってるのはいいのだが、いまいち個性が感じられなくて興味をもてなかった。だが、主人公に萌えるのではなく感情移入することを狙う話であるならそれでも構わない。まあ、このキャラデザではキャラクター商品などを売るつもりもないだろうし。

音にこだわりが合ったように思う。カーチェイスのシーンは映像は今行ったとおりいまいちだったが、車の中の場面での音響はリアリティを増す効果があったように思う。他のロケット発射のシーンやジャングルのシーンも凝っているように思うのだが、普段アニメを見るとき音にそんなに注意を払っていないのでこれだけが優れているのかはわからない。

再発売された原作の第一巻のあとがきに世あると「アニメ用のキャラクター原案によれば携帯電話の飾り付けからアクセサリ類からブラジャー装着の仕草に至るまで精緻に設定されています。」とのことなので、細かいところにも注意してこれから見ていきたい。*2

脚本:中瀬理香 絵コンテ:青山弘 演出:水野健太郎 作画監督:大下久馬

*1:再発売された原作のあとがきによれば、「女性読者に不評だったゆかり、マツリのスリーサイズについては自由に解釈してもらってます。」とのことだが、この身長とバストの1センチの差が「自由な解釈」なのだろうか?

*2:そのあとがきではいかにその作品がその先の宇宙開発を正確に予測していたかを誇っているのだが、そういう一部の人以外にとっては面白さと全く結びつかないことを自慢するのはエンターテイメント作家なら醜いので止めて欲しい。