第3話 「はじけるプリキュアは誰?」

「はじけるレモンの香り、キュアレモネード!」


レモネード【lemonade】
 レモンの果汁に砂糖を加え、水か湯で割った飲料。リモナーデ。レモン水。(広辞苑 第五版)

明らかに意味を考えずに言葉の響きだけからつけたネーミング。さらに希望・情熱・安らぎ・知性ときて、一人だけはじけるって意味不明な上に、どっちかというと鬱な性格で全くはじけていないうららは、他のキャラが決まったものの最後の一人が上手く決まらないから適当に作ってしまえ、と思いつきで生み出されたキャラのような気がしてならない。ツインテールから見事なばねロールに変化する奇抜さや、今回のいくぶんか奇妙な作画からしても、ギャグキャラにするつもりなように思えるがどうだろう?

前回が能天気なのぞみに対して慎重なりんという対比に対して、今回は人懐っこいのぞみと内気なうららという対比によって物語を作っていくものだった。電波な演説で一方通行に人を洗脳するだけのどこぞの頭の中がお花畑の生徒会長と違って、こちらは寂しがってる人のために何の下心もなく支えになるというお花畑の利点を十分に生かした関係を築いているのが偉い。(一方にとって他方が唯一で、逆方向では多くのうちの一人に過ぎないという問題は気になるけれど。子供向けアニメだからそこまでの邪推はよくない。)同じお花畑でもこちらはきちんと他人との関係を持っているから生き生きとしている。夢をかなえるためなら一人なのも仕方ないといううららに対して、「一人じゃない」と言って笑顔を見せるのぞみは、素直にかわいいと思ってしまったよ。

のぞみたちが去り、取り残されたときのうららの辛いけれどそれを誤魔化すために笑顔を作っていることがよくわかる表情など、キャラの表情の描き方が非常に豊かで、キャラの思いが伝わってきて非常に良かった。別にまなびゆーとぴあに特別な嫌悪感があって言うわけでははないのだが、まなびゆーとぴあの作画枚数をたくさん使って表現している表情よりも、今回のプリキュアの一枚絵の表情の方が感情を伝えるためには効果的だったように思う。

他にも映像的にも見所が多かった。なんと言うのか良く知らないが、極端なアップの絵(っていうのか?)も効果的に使われていて面白かった。うららがのぞみたちのところに駆けつけてるシーンでは、キャラが走ってるシーンでキャラが遅れたのに背景美術が動き続けて、キャラの努力によってキャラがその美術に追いつくという、クレヨンしんちゃん「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」のラストで使われていた演出が使われていて、それと同様に効果的だった。さすがに東映クオリティ。

脚本:山下憲一 演出:大塚隆史