第1話 「希望のプリキュア誕生!」

「夢見る乙女の底力、受けてみなさい!」

現在の流行の萌えキャラを巧妙に避けつつもギリギリで気味悪くはなっていないキャラデザと声。本来アニオタは自分達のために作られたアニメを見るものではないので、こういうのは貴重なのかなと。

最大の見所であるべき主人公の性格は夢を探すという強い意志を持っているのはいいものの、学園ゆーとぴあの学美よろしく頭の悪そうな明るさを見せるだけで、底が浅く他人への思いやりを全く感じられないキャラ。第一回なのでいまのところはポジティブさという印象があれば十分だということなのか。

ところでぬいぐるみ風の小動物に変身した美少年へののぞみの思いはどこへ行ったのか。ずっとこのぬいぐるみのままで、変身した男のキャラが戻るのかどうかはっきりしない。戻らないならのぞみの一目ぼれの描写は完全に無駄になってしまうと思うのだが。

のぞみが危機一髪でプリキュアになるタイミングは何の必然性もなくご都合主義。これまで何の兆しものなく突然プリキュアであることがわかるのも話としては唐突。強引にプリキュアが一体何なのかほとんど説明せずに話を進めてしまうのことなど、日常から非日常への橋渡しが乱暴な印象。

カマキリの化け物は声は悪役なのに落ちついていて、怒った時の激しさとの対比も良くく非常にいいのだが、キャラデザがチープで声と合っていないのが残念。これから何度も出てくるであろうだけに特に。

とはいえ全体のつくりは良くも悪くも東映クオリティで手堅く、これが維持できれば見続けるのも苦ではない。これまでのシリーズはクオリティの不安定さから見切って来たので、今度こそは安定したクオリティを望みたい。

脚本:成田良美 演出:小村敏明 絵コンテ:小村敏明 作画監督川村敏江

PS:ココに関して面白い考察を発見。正しいかどうかはよく考えないとわからないがこういう見方は面白いなと。


まだ1話目で見えて来ていない部分もあるのだが、踏襲した「セーラームーン」のタキシード仮面と併せると、護ってくれる騎士像から庇護するマスコットという存在へと、女性向け作品として、その時代の男性像の移り変わりが見えるようで面白かったな。2007-02-05