FACE MAKER 第1話

毎回ゲストキャラが整形で別人になって生きる様を描く1話完結もの。今回の話は顔のせいで男に振られた女性が美人に整形して別人としてその男と付き合い上手く行くが、やっぱり顔で振るような男は気に入らず、その男に対する復讐に転じるというもの。

まず前提として全体的にB級臭がする。ところどころ脚本に疑問点が浮かんだり、展開に無理を感じたり、演技にあきらかな不自然さを感じたりする。

本編を順番に追っていくと、ゲストキャラが整形して、ナンパやスカウトをされたりするこの種の話のテンプレ的シーン、前の男と付き合いがうまく行くシーンなどは、納得できる展開で楽しめた。

が、その後復讐に転じるきっかけは納得が行かなかった。その男がかつての自分に対するのと同じ仕打ちを別の女にしているのを見て、始めてその男の本性を客観的に把握し、恋愛感情が醒めたというのは納得できないこともない。しかしそこから復讐に転じるというのは理解できない。その男のことは忘れてせっかく手に入れた顔を活用して別の恋愛を探すのが普通に思う。それでもつじつまを合わせるなら、ゲストキャラは自分を苦しめた人間に対しては恋愛対象にするか復讐をするかしか選択できないということになるが、そういう特異な性格を何の伏線もなく主人公的なキャラの性格として受け入れることはできない。

しかしそれでもつじつまを合わせようとするなら、この話においてはそのような性格が当然だということが前提となってると考えざるを得ない。つまり人間は自分を苦しめた人間に対して欲望の対象にするか復讐の対象にするかしかできない、ということをこの物語が暗に主張しているということである。

そういう推論が見ていて自然に働くから、その後のゲストキャラの復讐は人間の普遍的な下劣さの一例を示しているかのようで、納得できないと思いつつもなかなか味わい深くもあった。

復讐劇の終了からオチまでは、超自然現象に訴えて元々胡散臭い話がますます眉唾にしかきこえなくなってしまったことと、オチがわかりづらかったのもあって、あまり面白くなかった。

全体としてはまあまあ面白かったといえると思う。不満点も多いけど、世にも奇妙な物語のように「もし〜〜だったなら」の世界を見せてくれるのは楽しいし、人間の悪の面を直球で見せてくれるのも爽快。それに一応視聴者を驚かせよう・テーマを見せようという意気込みはあるようなので、B級な雰囲気はどうしようもないけど、脚本しだいでは今後も面白いものに出会えるかもしれない。