アニメの面白さの説明の形式(草稿2)

まずアニメにおける部分的な判断を考える。判断の例としては、「このシーンの作画が良い」「このキャラはかわいい」「この話数のAパートの構成が良い」などがある。そういった判断は、直感によって与えられる。


(以下テクニカルな話は小さい文字で)

個々の判断を「x,y,z,...」で表すとして、「xがyに貢献している」や「xだからy」が成立するような関係C(貢献関係)が存在するとする。

「xCy(xだからy)」が成り立てば、必ず「yCx(yだからx)」が成り立たない(非対称関係)。例えば、「全辺を通してこのキャラの作画が良いから、このキャラはかわいい」は成り立っても、「このキャラはかわいいから、全辺を通してこのキャラの作画が良い」は成り立たない。

また、関係cにおいて、「xCy(xだからy)」と「yCz(yだからz)」が共に成り立つとき、必ず、「xCz(xだからz)」が成り立つ(推移関係)。「このキャラの作画が良いから、このキャラはかわいい」と「このキャラがかわいいからこのアニメは面白い」が成り立てば、「このキャラの作画が良いから、このアニメは面白い」が成り立つ。

推移的で非対称的な関係は順序集合である。

(ここで問題にしている)「説明」とは判断の間の貢献関係(厳密にはその部分)を聞き手が納得できる形で示そうとする文である。例えば「全編を通してこのキャラの作画が良い」という判断と、「このキャラはかわいい」という判断の間の貢献関係を示す「全編を通してこのキャラの作画が良いから、このキャラはかわいい」という文は説明である。

それ以外は説明ではない。

簡単に言えば、説明とは直感によって得られる判断の間の貢献関係を、納得の出来る形で聞き手に示そうとする文であり、それだけが説明である。

このように考える際のメリットとして、

(1) 「あるアニメについて語ること」と「あるアニメの面白さ(やその部分)を説明すること」を簡単かつ明示的に区別できる。

(2) アニメの説明の形式がはっきりすることによっていつも同じ手続きで説明できるようになり、説明が楽になる。

(3) アニメの説明の形式がはっきりすることによって、アニメの面白さを説明する際、直感によって得られる判断と、それ以外の推論によって得られる判断を簡単かつ明示的に区別できる。そしてある判断が直感だとわかれば、その判断の正当性について思い悩む必要はなくなる。それによって説明が楽になる。

というものがあると思う。

(続く...)