第8話

主要キャラが揃い、彼らの立ち位置も明確になり、波乱の後にシリーズ一番の見せ場を済ませ、また安定したラブコメ的関係に戻ったということで、一話からの話が一応一段落したということのよう。その見せ場は一話からの積み重ねのおかげでとても感動的だった。各キャラがそれぞれの思いを持って竜児と大河の関係に関わっていることがきちんと描かれていたのもキャラものとしてよかった。

この作品の見所は大河の心情描写で、彼女がとる一見非合理な行動をいかに自然に、かつ説得力を持たせて描けているかというのが注目するべき点だと思う。現実の女性も大河のような非合理な行動をとるわけだけど、その場合は現実であると言うだけで自然で説得力があるからその事態を不自然な事態だとは思わない。どんなに女が出鱈目なことを言ってもそういうものだと認めるしかない。しかしフィクションの場合はその前提がないので、女性の非合理な行動にリアリティを持たせるためになんらかの作為が必要になる。しかしその作為をやり過ぎると行動の女らしさが失われてしまうわけで、女性の非合理な行動にどの程度の作為を加えるかというバランスが女を女らしく描くためには重要になる。大河の描写ではそういう非合理な行動と現実らしさのバランスがきちんと取られていて、とても女らしく描かれていたと思う。