第5刻 「神楽」

全体的に感情表現豊かでよかったけど、はやみの時と同様にひなたが心変わりをする過程の描写が不十分で、あまり感動的でなかった。不十分というのは結果に至る過程に説得力がないということより、仲直りを押しとどめていた障害がいまひとつ説得力がなく、その変化があまり立派なことに見えなかったということ。

つまりひなたがはやみを突き放していた理由は爺さんに対して「よい子」でなければいけないということだが、それがなぜこんなにもひなたを縛り付けていたのかがよくわからない。常識的に考えて現代の子供が家庭の事情による拘束にここまで強制力を感じるのは自然じゃないと思う。だからひなた固有の性格や事情に原因があることを示せればよかったんだが、そういうのはなかった。

仲直りに至る過程は琢磨が事情を引っかき回したのがきっかけとなって秘めていた思いが表に現れたと全体的には解釈できるけれど、これまであんなに意地になってたひなたが思い出のアイテム一つであっさりと折れてしまった瞬間は、ひなたが頭の足りないお嬢様であるように感じてしまったなあ。