第26話 「それぞれの…」

なんてことない後日談。予想を外すことはまずないだろうという予想通り、きわめてオーソドックスなラストだった。こういう回の成否はこれまでの話の魅力の余韻がどれぐらい残ってるかに左右されるわけで、制作者的には自身は大ありだと思うし、僕としても成功していると思う。
シリーズ全体としても非常にオーソドックスな作風のアニメを徹底してオーソドックスに描いたという印象だった。最近の流行に沿った設定やキャラデザになっているのも普通さを追求しすぎて変にならない普通さであるといえる。その方向性としては作画・演出・構成と十分以上の水準を例外なく維持していて、滅多にない高水準の作品だったと思う。

特にキャラクターの感情の作画・演出による表現は優れた構成とあいまって絶品で、どのキャラにもごく自然に好感をもつことができた。ただ中毒的に好きになれるようなキャラはいない。もちろん狙ってやっているのではあるが、もう一歩上のレベルの作品にするためにはそういったキャラが必要だったと思う。

ただしキャラクター表現にこだわるあまり、背景のストーリーの説明や全体の目的の重要性の表現がが不十分になってしまったのは大きな欠点だった。ラストバトル以前は毎回楽しい話ばかりでずっと楽しめるものだったのだが、いざ最後の決戦と言う時にはいまいちその重みが感じられないという拍子抜けな印象になってしまった。

全体のストーリーをまとめるために毎回の面白さがおざなりになってしまう作品が多い中で、一話一話見所をきちんと用意しているのは偉いが、やはりラストの最大瞬間風速の感動と言うのは毎回の面白さと同じぐらい、あるいはそれ以上に重要だと思うので、シリーズ全体の面白さを考えると大きくマイナスだと言わざるを得ない。二クール使ったのだからなおさら。

とはいえ毎回エラく楽しんだので面白さの総量と言う点では今期トップクラスの作品だった。特に中毒的に好きになるキャラもいず、二期を見たいとは思わないが、こういったオーソドックスな作風で一定の水準を維持した作品は一期に最低一本は欲しい。