第12話 「その先にあるもの…」

最後まで徹底的に地味な作りだった。確かに大人への階段を登るオタクたちの姿は他では決してありえないほどのリアリティをもって描かれているように思うが、アニメらしいインパクトというものが決定的に欠けている。社会派の作品にするならもっと内面をえぐく掘り下げて描くとか、恋愛ものにするならもっと情熱的なやりとりを描くとかすればいいのだが、そういうことを全くせず、ただひたすら淡々とどこにでもありそうな情景を描いているだけ。それが作為のない自然なリアリティを生み出しているとはいえるけれど、やはりわざわざチャンネルを回して見るアニメとしては面白みにかける。

しかしその姿勢はシリーズ全体を通して一貫していて、明らかに意図的なものであり、その方向では表現のクオリティは高かった。制作者たちは表現したいものを十分に表現できたと満足しているように見える。だが話題を作りたいようにもDVDを売りたいようにも見えず、到底商業的な成功を目指してるようには思えない。

で、一体なにが目的なんだ、と終始疑問に思ってたシリーズだった。