第1回 桜舞い散る坂道で

「乙女のインスピレーションです。」
原作未プレイ。今回の主要な目的は朋也がいかにありふれた人生に退屈しているかということを描くことだと思うが、その点では紋切り型の内容以上のものは感じられなかった。っていうかそれを描こうとしてるのなら特殊な家庭の問題を抱えているのは、人生に刺激をもたらす要素なんだからマイナスなんじゃないだろうか。まあもともとあまりリアリティを追求してはいないということだろうとは思う。

「リアリティ」という点ではKanonに引き続いて、描きたいのが現実的なリアリティなのか、ファンタジックはリアリティなのかが一貫していない。人生の退屈さや過程の事情など泥臭い現実臭さをリアルに描きながら、現実にはありえない現象やキャラクターも強い存在感を持って描かれている。ファンタジックなリアリティと現実的なリアリティは、一方が大きくなれば他方が小さくなるという関係があり、どちらかに絞らないことには、両方とも十分に描けなくなってしまう。

まあこういったKey-京アニ作品に共通するカテゴリカルな欠点は予想していた通りなので、さほど落胆はない。激しい動きのあるアニメーションは見たことがないぐらいに迫力があったし、電波なキャラ描写もそれはそれで面白く、よく出来ている。特に中原麻衣は何かをやってくれそうな予感があり、大いに期待。