第12話 「初恋はななついろ」

「ハル君のポケット、魔法のポケットだったんだね。」

第6話の感想で


このクオリティの安定性と徹底的に謙虚な表現姿勢は奇跡的といってもいいんじゃないでしょうか。

ストーリー展開的に1クールっぽいので、後半分、この質を維持できるなら歴史的傑作の予感。

と書いたわけだが、後半の中盤である程度の作画・脚本における弛緩が見られたわけだが、概ね期待通りの出来で、歴史的かどうかはわからないが、滅多にないほどの傑作だったと思う。とりあえず終盤は十分な質を保ってくれたのは良かった。

今回も冬の空気感が美術や音響効果によって美しく描かれていたが、シリーズ全体でもあじさいを中心に描いた梅雨時の描写や、虫の声や海の音、星空が美しかった夏の描写など、一年を通して季節の移り変わりが感じられる背景の描写が素晴らしかった。それが物語を彩る背景としても十二分に機能しているのが、単なる美術アニメとは違うところ。

でもなんといっても高品質な作画の維持と、徹底的にベタを貫いて決してメタに逃げない脚本のひた向きさが、この作品にこんなにも感動してしまった原因だと思う。途中作画が不安になったときはどうなるかと思ったけれど、制作者の方々は本当によくやってくれました。心から感謝の念をささげたいと思います。