最終話 「花」

泣きました。メロドラマのラストで普通の人が泣くように。それにしてもこれだけアニメがあって、ベタなラストにベタに泣ける作品というのがこうも滅多にないというのはどういうことなのだろう。そういう作品が多数派であるべきではないでしょうか。

これまではウィリアムの婚約やその破棄の辺りの、ウィリアムの行動の不自然さを欠点として挙げてきた。しかし、今回のジェドバラー卿がウィリアムの正直さを認める話を聞いて、さらに心残りのないすっきりラストであるところもあって、時には無謀なことをしてしまう若者らしい素直な行動として、今では受け入れられるように思った。もちろん、当該の話数を見ていた辺りで不自然さを感じるような作りであったのは、別問題として欠点とするべきだが。メタな視点に立てば、そういう物語の安定性の揺らぎが、ウィリアムの物語内の不安定さから受ける視聴者の不安定な印象を強化することになり、ラストでそれも含めて浄化されたとも考えられる。

メインのストーリーが終わった後の後日談で、ウィリアムとエマの話よりも強い感動を与えそうなほどに、主要な脇役たちがフォローされていたのが素晴はしかった。特にエレノアの元気を取り戻した姿があんな形で表現されたのには感動した。前話までも、少しずつ回復する姿が描かれていて、まだ出るのかと半ば突っ込むのを楽しんでいたのだが、まさかここまでのものを見せてくれるとは思わなかった。この話で一番の勝利者(というべきか?)は彼女だと思う。ジョーンズもあまりにもかっこよすぎだし、まさかラストにこんな年寄りの顔を見せられて終わるとは夢にも思わなかった。

このシリーズは全体を通して、表情付けを中心として演出が感情表現として優れていて、登場人物たちの感情をリアルに感じることができるものだった。一期も含めてこのシリーズは当時のイギリスを表した背景美術が売りだが、印象としては第一期ほどに美術に感心することはなく、人間中心の表現だったように思う。でもメイドたちの生活や、社交界のあり方なんかは丁寧に表現してあり、物語の舞台として優れていただけではなく、興味深く見れるものでもあった。さすがに第3期はやらないだろうし見たくもないが、2クールの間熱いラブストーリーとビクトリア朝の風景や生活のあり方を含めて堪能させてもらった作品だった。