第12話 「ラット・シティの王」

「僕には信じる力がある! デルトラをいい国にしたいんだ!」

今回も普通に面白かった。今回でラットシティ篇終了ということなのかな。トムの家から、チュルナイ、ラットシティと、思い返してみるときちんとそれぞれにつながりがあり、意外にも良く出来た構成だったことがわかる。謎とその解決意外にも、トムの店で買ったアイテムがいたるところで活用されてたのもRPGっぽくて楽しかった。ただアイテムのネーミングは安っぽくて残念。翻訳者がそこまで考慮しなかったんだろう。

「大丈夫か!」とリーフを助けようと走り出したらいきなり豪快に吹っ飛ばされるバルダ。これはどう見ても制作者がネタキャラとして遊んでるようにしか見えない。とはいえリーフとジャスミンの喧嘩に口出しをせず、二人が文句を言いながらも和解した時に安心した笑顔をみせるバルダは大人ならではの優しさを感じて良かった。

ジャスミンがリーフたちと別れようとする理由や、やはり一緒に行こうとする理由は弱く感じた。前者は唐突過ぎたし、後者はもっと説明のセリフが欲しかった。でも声優の演技やらこれまで積み上げてきたキャラのリアリティなどから不自然さは感じないわけですが。っていうかジャスミンが嘘をつくわけがありません。

今回も威勢ばっかり良くてほとんど役に立ってないし、理想を掲げるはいいが未熟な子供の夢物語にしか聞こえないリーフ。でも正義を無条件に信じてるこの純粋さが少年心をくすぐって実にいい感じなのです。最近のアニメでは思考が一直線な女性キャラは多いけど、男性でそういうのはあんまりいないような気がする。でもリーフが無謀な代わりに冷静なバルダとジャスミンがいてバランスはとれているわけで。それにしてもこのアニメそれぞれのキャラが濃すぎ。

CGを使ったバトルシーンは結構良かった。多少普通のアニメーションとの齟齬は感じたけど、のたうちまわってるところとか、ドスンドスン言う音響と相まって迫力があった。大蛇リアのいる塔は明かりを使わなければ見えないというシーンがあったほど暗かったけど、バトルが終わった後に外の明るく広大な世界がバーっと広がるカットはバトルが終わった安心感を感じられて良かった。不安から安心を闇と光の対比で表すというのはゲームやアニメなんかで山ほど見てきたような気はしますが。

次回は原作ではシリーズ冒頭にあったデルトラの国王の過去の話。今回の話の中で言及していて視聴者の興味を喚起しておくことも忘れていない。それにしても予告に出てたロリメイドのかわいさはやばすぎ。

脚本:高橋ナツコ 絵コンテ:鎌倉由実 演出:鎌倉由美 作画監督:本田隆