第5話 「イグニッション −ignition−」

「あの子、よさそうな子ね。」

とマツリのことを言うゆかり母の人を見る目は抜群なのであって、今回はマツリ@生天目の存在感が非常に印象に残った。プリキュア5ののぞみとはまた違った天然さで、得体の知れない自信が妙に説得力がある。表立っては語られないがゆかりにとって大切な心の支えになっているように思える。特にゆかりが加速時の押さえつけに苦しんでる時に「後20秒の辛抱だよ」など言っているマツリはすごく自然な優しさを感じた。

なんといっても見事なのは構成。制作の裏事情とかを考えたこと無い人は、展開を詰め込みすぎでダメだと思うだろうけど、そういうつまらない穿鑿をする人にとっては、大人の事情でそうなってしまっているのは明白。にも関わらず語るべきストーリーはきちんと語っていて、取るべき間は十分に取ってある。発射前日の不安感感、発射決定直前の緊張感、成功がわかった時の喜びなんかは、バッチリと必要十分に表現されていたんじゃないだろうか。急ぎ足に感じる人はまだ5話であると言う事実を考えてみて欲しい。たかだか半クールでこれだけの感動というのはなかなか得られない。ベテランの職人技を感じます。

恨むべきはこれだけの話を半クールで作ることになってしまうという業界の事情で、これは誰のせいでもないからしょうがない。そんなことに嘆くより、それでも面白いものを作る奴がいるということを喜ぶべきです。

脚本:十川誠志 絵コンテ:森木ひさし 演出:渡辺純央 作画監督:渡辺奈月/飯飼一幸