第21話 「君のいない輪舞曲〜ronde〜」

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この事故のカットは、アニメ的に誇張した表現じゃなくて、実際の事故の映像に近い。人間が圧倒的な力の差から紙くずみたいに飛んでいっちゃう。ネットで事故の映像を見たことがあるからわかるんだが。恐らく実際の事故の映像を参考にして作ってあると思う。あとカメラが監視カメラのように事故現場を俯瞰的に映してるだけで、一切の演出を排してる。普通ならドライバーやぶつかる人の驚いた表情をアップで移したり、ぶつかる瞬間をスローモーションにしたりするところだが、そういったことを一切していない。その前の子供を助けるシーンも同様。こうやって徹底的に演出を排してリアルに作ることにより、現実の無慈悲な残酷さを強調しているわけだが、アニメの表現としてはどうなんだろうかと思う。こういうリアルさを持ち込むということはエンターテイメントを超えたものを表現しようとしてるわけで、それがふさわしいのかどうか。少なくとも今回の話全体から見れば、上のサイトから引用すると、


783 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で :2007/02/23(金) 11:01:26 id:Z5ig0wi5
 本当に久しぶりに名雪の見所が沢山あったのに、
 ラストで全部吹っ飛んだ。
 本当に報われないな、名雪
ということで、この通りだと思う。エンターテイメントを超えた表現をするのがどうかという点については倫理の問題になるわけで、ちょっとここで語るには重すぎる話なので逃げ出しておきます。

ところであの妙に存在感のあったカエルのぬいぐるみは今回の事故を暗示する伏線だったのだろうか? なんだかよくわからない不安を感じさせるものではあった。狙ってるのならすごい。っていうか狙いすぎ。

事故を抜きにすれば、今回は非常に構成が良く出来ていて、クオリティの高さが十分に活用されている回だった。最初のあゆと祐一が学校のことを話すシーンはこれまでの謎がスーッと解決されていくようで、また悲劇性も感じられて良かった。ただこのシーンは前回のラストに持ってくれば、前回はすっきりした気分で終わっただろうし、今回の全体の印象も混濁したものにならなかったと思う。その後のあゆから名雪へと話をつなげていく手際は非常に良かった。例えばあゆとの待ち合わせで使っていたベンチに名雪が目をやってしまうところなど。特に良かったのは祐一が名雪の雪うさぎを壊してしまうシーンを完全に見せる前に部分的に見せていくことで、完全なシーンを見たときに、恐ろしい事態が起こってしまうことを知ってるのにどうしようもないという絶望的な緊張感をすごく感じた。事故がなければこのシーンが記憶に強く残ったことだろうと思う。

しかしなぜこの構成の技をエピソードの統一感を強めるために使わないのか不思議。シリーズ全体の構成として考えるならば、あゆの話が解決しないままに次の展開が始まってしまうのはどうかと思う。どうもこの作品は狙いのよくわからない構成が多い。

っていうか良く考えてみれば、名雪が祐一のことを好きであるかのに見えたのは、実は全部恨みのせいだったということなのか?

脚本:志茂文彦 絵コンテ:北之原孝将 演出:北之原孝将 作画監督門脇聡