第5話 「ふたりっきりの、夜」

前回に引き続き、キャラの感情の変化の過程を十分に示さずに見せ場のシーンへ突っ走ってしまうという作り手の自己満足にしか見えない脚本。見せ場自体は至上の出来なんだが。前半はなぜ手紙がいいのかがよくわからないこと*1と、ツンデレのはずの芽生が手紙で口では言えない思いを伝えるというような恥かしいことをいとも簡単に行ってしまうことに無理がある。手紙で失敗する可能性が切り捨てられているのもご都合主義。後半は芽生と光香がテーマを決めるために奮闘するシーンを映像と音楽を流すだけで済ませてしまったこと。こここそが見せるところであるべきで、まともな脚本ならここでの奮闘を通して二人が打ち解けていく様を丁寧に描いていくもの。どうもこの作品は肝心なところで見せるべき脚本がすっぽり抜けているような気がする。

芽生は前々回でツンデレ担当のギャグキャラに確定したのかと思ったら、今回はツンデレは鳴りを潜めて百合キャラへと変貌を遂げていた。この変化自体は壮大なツンデレではある。学美に会ったことによって性格が大きく変化したとうことなのだろうか。(そう考えれば芽生が手紙を使うという大胆な行動を取れたのも理屈としては納得がいくけど、それならそうと示して欲しい。)

「トモダチからナカマへ」はあとでよく考えるまで意味がわからなかった。こちらの頭が足りないからだが脚本にシラケ切っていたというのもある。この言葉の意味を事情を知らないのに一瞬で察してしまう学美はこれまでの白○にしか見えなかった学美から偏差値が20ぐらい上がったように見えた。この感触を維持したキャラ作りをしてくれれば素晴らしいキャラになりそう。さらにこれまでの一見何も考えていないような行動が実は確固たる自信に支えられていたということを示せればなお良いが期待しすぎか。

ヴィジュアル的には相変わらず充実。それが単なる映像美の追求にならず演出意図に貢献している。しかしなんだかフタコイの後半の頃のようにクオリティは高く話は盛り上がってるはずなのにだんだん興味を失っていく感じがしてしまうなあ。

*1:手紙が直接話すのよりずっと抵抗がなく、しかし思いつきづらい手段であるのが常識ならば、こちらが単に常識知らずであるにすぎないけれど。