第15話 「西郷の恋」

「恋する物同士、気持ちが通じ合うということでしょうか?」

文句のつけようのない歴史的傑作と呼べるエピソードだった。一本のラブストーリーとして抜群の出来であるばかりでなく、シリーズの中でも自然な位置付けが出来る話になっていて、さらに主要キャラクターが皆それぞれの個性を存分に発揮して活躍している。シリーズアニメの一話としては理想形。
こちらとしては西郷の恋の成就を望むんだけど、悲劇の方が物語としては面白い。その中間をこういう形で自然かつきれいにまとめるのはラブストーリーとして定石なんだけど、それがまともにできたアニメというのはあまり思い出せない。

多くは語らないがラストシーンは見事で、美しく、悲しみをはるかに上回る希望に満ちたものになっている。これができるポテンシャルをこれからのシリーズのラストスパートで発揮してくれれば当初の気楽に楽しめる作品という印象とは裏腹に歴史的名作になるんだろうが、そううまくはいかないんだろうなあ。

脚本:戸塚直樹 絵コンテ:ボブ白旗 演出:黒田やすひろ 作画監督:小沼克介/三浦貴