俺の妹がこんなに可愛いわけがない 第1話

原作は既読。原作の主要な印象は「優等生的」な作品だということ。キャラクター設定やストーリー構成などが流行と一般的な良さの両方の観点からよく練られていて、何度も会議を重ねてつくったんだろうと思わせられた。もちろんそれ故に面白かったんだけど、その生真面目さが息苦しく感じられ、結局3巻までしか読んでいない。

アニメ化に当たって不安だのはその生真面目さに由来する辛気くささがアニメの雰囲気に表れてしまわないかということ。真面目な作品だからキャラの内面の葛藤や人間同士の対立といったあまり見たくもないものをきちんと描いているわけで、見せ方によっては説教臭くなったり過度に重苦しくなったりしかねない。そういうのは僕はアニメに期待しない。簡単に言えばとらドラになって欲しくない。

その点に関して、今回の第1話は問題は感じなかった。見せ方によっては中学生日記になってしまいそうなシーンはいくらでもあったけど、そう言うシーンをあまりしつこと引っ張ったりせず始終ライトな雰囲気だんたと思う。それでいて十分に作品テーマ的なものも示せていたと思う。

きちんと後半に桐乃の暴露という見せ場があったし、全体の構成も無駄なくその見せ場のために組まれていて、不自然なところもなく1話完結ものとしての構成は良かったと思う。

第1話の脚本としては疑問に感じるシーンがなくて、当たり前のことだけど良かった。ただし2話以降への伏線は弱かったかもしれない。この後に原作第1巻の中心となる騒動があるわけだか、原作を知らない人がこのエピソードを見てその騒動へのはっきりした期待を寄せることはないんじゃないかと思う。

エロゲパッケージ等のオタク描写が非常にリアルだった。こういうのは大体その描写が本物のオタクからみたら的外れか、もしくは作品内での機能が無視されていて作者の自己満足とブログや2chのネタにしかなっていないのどちらなのだが、今回はそのどちらでもなかったと思う。ライトエロゲーマーの自分としてもリアルだと感じられたし、作品内ではストーリー上最重要なアイテムとしてそのリアルさが役に立っていたと思う。

それ以外も作画や声優等特に悪い意味で気になる部分はなかった。

ただ演出は第1話ということでちょっと力みすぎかなとは思う。例えば麦茶を注ぐシーンはあんなにアニメーションする必要があったか? とか。

あと作品自体とは関係ないけど、力の入っていた事前のマーケティング(まあ僕ははてブ人気エントリーをながめてただけですが)にふさわしく、作品が面白かったのも好感触だった。(なんかもうハッタリと工作活動だけでDVDの売上を伸ばしてるような作品はウンザリなのです。)

さらにこういった魅力的な要素が、萌えアニメにおいて存在しているということも僕にとってはプラスポイント。(桐乃が萌えキャラか? と改めて聞かれると自信を持って肯定はできない。萌え要素といえばツンデレぐらいで、それは別に萌えキャラじゃなくても持ってる特徴だし、「リアル妹」は萌え要素じゃないと言える。「茶髪」だし。さらに極論を言うなら「萌えキャラには中身があってはいけない」)

というわけで総じて大満足で、最近アニメから離れがちだったけど「やっぱりアニメって面白いですね」と思わせてくれるエピソードでした。