テレビでやっていたクレヨンしんちゃん『オトナ帝国の逆襲』で映画的に強く感動した後に劇場版風の展開の締めだったレールガンを見て、レールガンの評価を分不相応に下げてしまった人は僕だけではないと思う。オトナ帝国が「家族」を正面から描いているのに対してレールガンは何を描いているのか、と問われたら答えられない。

……まあもうちょっと具体的に言うと、オトナ帝国は後半のアクションやら演出のほとんどが家族の絆という一つのテーマを示すのに貢献している。だから圧倒的にわかりやすくて印象的な作品になっている。しかしレールガンの場合は個々の演出やアクションは素晴らしく、それぞれ友情や優しさを示すのに貢献しているが、それらが一つのテーマに対して貢献しているようには見えない。だから作品が何を言いたいのかはっきりせず、全体的に散漫な印象になってしまっている。

これは直感的には作品の格の違いであるようにしか思えないのだが(オトナ帝国が上)、もしかしたらレールガンは世界の複雑さを描いているから良くて、オトナ帝国は単純だからダメ、という理屈も通るのかもしれない。