第25話 「音羽、ふたたび」

ラストバトルにふさわしいハイクオリティな回だったが、正直期待したほどには楽しめなかった。
その原因の一つにこれまでのシリーズ全体のストーリーの積み上げが不十分だったというのがあると思う。毎回各キャラの心情の流れは非常に丁寧に追っていて好感触ではあったが、ワームを倒し平和を取り戻すことが世界にとって、またキャラたちにとってどんな価値があるのか、といった大きな視点での目的の説明は不十分だった。だから今回せっかく取り戻した世界平和があんまり意味のあるものに思えない。

もう一つ作りが優等生的すぎて硬すぎるというのもあると思う。ラストと言うのはもう後がないわけだから、羽目を外した行き過ぎの表現が許される、というかそのほうがふさわしい。エヴァンゲリオン然り、スクールデイズ然り。そこをこれまでと同じように一話完結で行儀の良い構成・演出でやってしまったのはラストとしては欠点だといわざるを得ない。

キャラの心情に重点をおく・一話完結で奇抜さよりオーソドックスな完成度の高さを目指す、といったこの作品のこれまでは良い方向に作用していた特長がラストではマイナスに作用してしまったように思う。大好きな作品だけに残念だが今回はあまり評価できない回だった。