第1話「候補者たち」

「ずっと・・・ずっと、空を飛ぶのが、わたしたちの夢だったんだから。」
コナミの新作オリジナルということで、以下の論考を復習しておこう。コナミアニメはヘタれている関わらず、我々が学生時代にノートに書き溜めた末に封印してしまったような「黒歴史的」な設定群の作品化に成功しているという点で、微妙に批判しづらくなってしまっているという指摘。内容も妥当だけど、文章としても面白いので読んでない人は是非どうぞ。
http://stack-style.org/2007-03-05-05.html
で、この作品も例外ではなく、設定としてはかなり作りこんでありそうな雰囲気。冒頭の物語の舞台の説明は、説明しなければいけない設定が多すぎて無理やり最初に詰め込んだような印象を受けた。試みに公式ページの主役の紹介を引用してみる(これから先の展開を少し先取りしてるので知りたくない人は読まないように)。


大空に憧れる零神担当パイロット。明るく常に前向きで、大空を飛ぶことが大好きな、ソニックダイバー隊のムードメーカー。
祖父の営む剣術道場で後継者としての修行を積む傍ら、潜水漁師として働いていた。
直情的な性格から、走り出したら止まらない。他人を思いやる気持ちが強いが、その性格のせいか、親切のつもりが、ただのお節介にまで発展してしまうことも多い。
幼い頃に行方不明になった双子の弟の影響で、大空に不変の憧れを持っている。
物事にあまりこだわらない性格が災いして、リーダーの瑛花にいつも小言を言われている。

その行動力と剣術の腕前から、ソニックダイバーのファイナルアタックでは、レセプター(斬り込み隊長ともいう)として活躍する。
カニックの橘僚平とは喧嘩友達である。

これまたその論考で紹介されていたキャラ紹介と同様に、設定資料をそのまま載せたような文章で、本編を見なくても同人誌が作れそうな情報量。本編を見る前の読む人もいるはずで、ここまで明かしたら楽しみが半減してしまうだろう。そして、確かに中学生のころに封印したノートの内容のような無駄にディープな作りこみ具合でもある。公式ページのキャラクターの相関関係の図もそんな感じ。

肝心の本編は、冒頭の急ぎ足の舞台の説明も含めて、設定の消化に忙しすぎて見せるべきところが十分に見せられていなかったように思う。主役の初登場回ということで、この設定に従うならば、「明るく常に前向き」で「直情的な性格」を十分に印象付けるべきだと思うのだが、十分に示されてはいなかった。「祖父」「剣術道場」「後継者」「潜水漁師」「幼い頃に行方不明になった双子の弟」など説明しなければならないことが多すぎたのが原因のように思える。しかし個々の美術や、キャラの感情表現、戦闘機のアクションなどは悪くない。この印象が正しければ、全体のクオリティは一定のレベルを維持してるが、いまいち心を動かされることがないという、コナミアニメのダメなときの典型だといえる。

とはいえ、ときめきメモリアル Only LoveSaint Octoberは最初はヘタれた印象だったけど、途中から異様な面白さを発揮という例もあるので、侮ってはいけない。