Ever17

古典的名作もやってみようということでEver17をトゥルーエンドまでプレイ。タネは知らずにやった。(以下ネタバレはほとんどなし)

率直な印象としては評判ほどには面白くなかった。確かに種明かしはビックリしたし、文章が上手く、各シナリオにもそれなりの見せ場があって退屈はしなかった。小難しそうな理屈を示す場面も、説明がわかりやすくて煩わしく感じることなく楽しむことができた。

しかし各シナリオが程度の差はあれドラマとしていくらか薄っぺらい点と、肝心の種明かしのあたりの理屈がややこしく、また説明的な文章の分量が多く、そこでドラマの勢いが削がれてしまったのがよくなかった。説明の仕方はわかりやすかったと思うけど、説明の対象が常識からかけ離れ過ぎていて戸惑ってしまったという感じ。そうするとこの作品のトリックそのものがドラマに組み込むのが無理だったということになるのだけど、まあそういうことなんじゃないかと思う。

その対極にバックトゥザフューチャーとかもっと行けばドラえもんみたいな、科学的な正確さやSFの衒学的な面白さを無視してエンターテイメント性を重視した作品があるわけだけど、前者と後者のバランスをいかにしてとるかというのは物語作者にとって頭の痛い問題なんだろうと思う。

あとは空編とラストは物語のキャラクターを愛するというのはどういうことか、という問題を考えさせるようなアイデアが示されていて、それは今後僕がアニメなどについて考えて行く上で参考になるように思った。

評判ほどには面白くはなかったというだけで、面白かったかといわれれば自信を持ってイエスといえる作品だった。